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Channel: 山と土と樹を好きな漁師 ー「佐々木公哉のブログ」
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【被災地漁師の生の声】被災地の水産業を取り巻く、悪循環。~ 今、沿岸漁業を含む水産関係者が厳しい状況になっています。

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【被災地漁師の生の声】被災地の水産業を取り巻く、悪循環。  
「多重債務返済に追われている」水産関係者。

津波襲来で、生業(なりわい)を失ったのは水産関係の人が沢山います。
今、沿岸漁業を含む水産関係者が厳しい状況になっています。
震災支援事業の、「グループ補助金」などに魅力を感じて、過大投資したのも大きな要因となっていることも指摘しておきたいと思います。


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※グループ補助金

東日本大震災津波により被災された本県中小企業等グループの施設・設備の復旧・整備を支援するため、「平成25年度岩手県中小企業等復旧・復興支援補助事業」

http://www.pref.iwate.jp/view.rbz?cd=45665
イメージ 7  震災から、復活した水産関係の実態は、不漁で資金繰りで厳しい状況になっています。
被災地で「多重債務返済に追われている」のは、どんな事業(個人事業主)をやってる人も同じです。
被災地の場合、水産加工業者も「震災グループ補助金」※1を使って復活しようしてる業者も、震災の間に、取引先顧客が離れてしまったり、この不漁もあり魚がなくて、商売にならなくなって倒産したとこがあります。
これから、先も倒産しないためには「運転資金」が必要となると思いますが、漁師が減って、更にこの不漁が来年以降もとなれば、また増えると思われます。

漁業(漁師)は
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3.11で漁師復活した漁師は個人事業主がほとんどですがこれも皆、同じです。
この船は、中古で東京から回航して来た釣り船で、10ヶ月かけて改造しました。
これが、大きな債務となっているのです。
漁師は、中古船であれ新造であれ、船を再建したひとは同じような境遇にあります。

ただし、僕の場合「運転融資」受けてるので、それでまだ、自己破産しない余裕があります。
運転資金もなくなれば、アウトですが・・。これの債務を返済を先送りしてるという事になります。
ただ、実際には「運転資金」までも使い果たしてる人もいます。
漁師の場合、政府制度資金なので年賦で、自分の場合12月に支払います。

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僕が言いたい深刻な事態とは
震災以降、完全に海がおかしくなっているということです。
だから、不安と焦りのストレスがいつも頭にあります。
「漁師は獲ってナンボ」の世界です。
2年連続の極端な不漁が続いています。(技術センターから聞くと小さな余震が絶え間なく起きていて、そのたびに泥が舞い上がり、陸側に魚が寄り付かないのではないかと言われています。高水温にある。という事ですが、本当の事はわかっていません。)

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それと、福島原発事故で
東日本の太平洋側の中でも宮城、岩手は同じ被災地という見方をされています。(岩手、宮城県北は、親潮(北から南に流れる潮が常に流れています)だから、海から昇って来る事は考えられないのですけどね。)そのため、風評被害で参っています。魚など取ってきても、安いのです。各魚市場で、検査しています。
安全なものしか、当然ですが僕らは水揚げできません。また、水揚げできても、その単価はウソ見みたいな安値です。
放射腺は、岩手の漁師の生業(なりわい)復興の大きな妨げになってるのです。
福島は補償金がでますからまだ恵まれていますよ。宮城、岩手の被災地もまたその影響もあります。
特に、マダラなどは、安くて(20分の1の価格)、マダラ専門に漁をしていた船は、出漁出来ない状態で、自殺者も僕が知ってるだけでも3人はいます。震災以降、マダラをやろうと漁具資材を買いましたが、マダラの価格を聴いて、漁具作成を止めています。
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更に、秋サケです。
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                                                                                                                                                        岩手の主要魚種であり、北海道に次ぐ生産高を誇ってきました。そのため大型定置網が各漁協で相当数建てられています。それは、鮭を孵化して、放流してるから漁獲出来るのです。3.11の津波では、ふ化場は河川近くの地盤沈下もあり、したがって壊されました。

 三陸のふ化場は津波で流された施設が28ふ化場中23ヶ所の施設が被害を受けています。
復旧したふ化場は、建設中のところもありますが、完全復旧には、まだ至っていません。
震災前から、回帰率は下がる一方でした。これは、魚体の小さいのを見ても分かるように、鮭が3~4年回遊して育つ、オホーツク海、ベーリング海など北の海にエサが減ってる事に原因があるように感じます。
さて、サケは、昨年、史上最低の漁獲漁でした。
もう、放流していない震災の年から考えて、今年は3年目に入り、恐らく昨年を下回ると推測され、来年は本命の4年目です。
もっと、減少すると容易に予測できます。

僕の前に、「明戸ふ化場」がありますが、津波後は何もない状態になっていました。
あと、15日位で放流出来たんですが・・。3
月11日では、間に合わなかったのです。

したがって、仮に今年ふ化場が全て完成したとしても、「震災から3年」+ 「孵化して回帰するのは4年」ですから・・。
最低でも、向こう7年~8年は鮭が皆無に近くなる事になるでしょう。

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                                                                                                                                                        まあ、僕は震災前から、回帰率の悪化や鮭延縄でやっていけないと思い、鮭は止めていました。
実は、定置網を除けば、ほとんどの小型漁船の人は別の漁に切り変えてはいましたが・・。
 
ただ、この大型定置網が不漁となれば7年も待っていられないでしょう。
元々、高齢化していたので、今度は定置網の人員確保すら難しい状況になるのは必至です。


だから、ドンドン漁師は減少することになると思われるのです。

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