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Channel: 山と土と樹を好きな漁師 ー「佐々木公哉のブログ」
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「自ら「扉」を閉ざした」安倍首相の靖国参拝 ~ 近隣諸国の激しい反発を招いては真の慰霊にはならない。

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「自ら「扉」を閉ざした」安倍首相の靖国参拝は中国、韓国のみならず米国への挑戦状となっている。
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 米国の「失望した」という反応を予想外だとおっしゃる人がいる。いったい、なにを見てきたのか・? と言いたい。
ケリー国務長官とヘーゲル国防長官が訪日時に千鳥ヶ淵墓苑で献花をしたことは、最大のメセージだったはずである。
                                                                  ▼ケリー国務長官・ヘーゲル国防長官による献花式
                                                                                                            2013年10月3日(木)
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 保守本流の政治家としての「靖国参拝」の思いは理解できないわけではない。
 しかし、一政治家と首相の参拝の重みはまったく異なる。
 それは政治・外交問題に直結する行動だからからである。

 安倍首相は記者団に「この一年の安倍政権の歩みを報告し、再び戦争の惨禍で人々が苦しむことのない時代をつくるとの誓いを伝えるためにこの日を選んだ」と述べている。しかし、僕には矛盾する言葉は虚しいく聞こえた。
 この1年で、「日本国家の政治の姿は右傾化に傾いたと言える。 象徵的なのは「国家機密法」の強行に数の力で成立させた。 さらに、「国家安全保障会議(NSC)を設置」。中長期の外交・防衛政策の指針となる「国家安全保障戦略」を策定するなど、安全保障政策の見直しを着々と進めている。
 国民の反対を無視した政権運営といえる。 大きなデモやあれだけの団体や著名な人々が反対したのは、この法案の先に「戦争への危機感」を感じたからであるからである。
 
安倍首相の靖国参拝は、自ら隣国との完全に「対話の扉」を閉ざしてしまった。
東アジアの緊張をさらに危うくする行動に危惧を感じざるを得ない。
 同盟国の米も、これまで仲介に努力して来た。それを、台無しにした。米は異例の声明で「失望した」とのサキ報道官声明を発表した。
▼安倍首相の「靖国参拝」を強く批判する中国、
韓国、米のマスメディア
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 在日米大使館声明と同じ内容だが、大使館声明にとどまらなかったことで、米政府の姿勢がより明確になった形だ。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設に向けた同県の埋め立て承認に関し27日に予定していた小野寺五典防衛相とヘーゲル国防長官の電話協議も延期されるなど、首相参拝の影響はさらに深刻化している。
 連立を組む、公明党の山口那津男代表でさえ「首相の理念的な面での言動が一つ一つの行動に表れている。欧米からの懸念はそれら全体に対する評価と受け止めるべきだ」と首相に苦言を呈している。
 参拝がどれほどの影響を及ぼすかを考えなかったわけはないだろう。それにもかかわらず、あえて踏み切った真意が見えない。 

参拝に中国、韓国が猛反発することは必至だと知っていたはずである。
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安倍首相は過去にないほど悪化した日中、日韓関係について「対話の扉はいつも開いている」と述べてきたが、それを、かき消す矛盾する行動に疑問を覚える。 
 首相の参拝は第1次安倍内閣時代を含め、首相在任中で初めて。首相は「第1次内閣で参拝できなかったことは痛恨の極み」と語った。
 首相は昨年末の就任後、中国や韓国に配慮して自制的な姿勢を見せてき化に見えた。 靖国神社には4月の春季例大祭、8月の終戦記念日、秋季例大祭とも参拝を見送った。
 こうしたメッセージがなかなか届かないことへのいらだちもあったのかもしれない。しかし、中韓両国がそれを肯定的に受け止められないほど関係が悪化している現実をこそ、直視しなければならなかったはずである。 
 首相は歴代首相が参拝していることを挙げたが、当時とは両国との関係の危うさが違う。  
 関係改善がさらに遠のくことは避けられない。
 東アジアの緊張が高まる事態を避けたい米国も、非公式に靖国参拝見送りを要請していた。 同盟国の忠告にも耳を貸さなかったから、米国は「失望した」ことになる。
 中国、韓国とも、さらに強硬姿勢を見せてくることは間違いないし、すぐに両国のメディアでは過激な報道をし、国民も反日運動を行動に移している。

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この東アジア地域で今後さらに「緊張が極度に高まる」ことを恐れる。
それを口実に防衛力の増強を進めるのなら、これほどあべこべな話はない。
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東京新聞の社説が言い当てています。転載します。
【安倍首相靖国参拝 真の慰霊になったのか】
東京新聞   2013年12月27日
 
 安倍晋三首相が靖国神社を参拝した。国の指導者が戦死者を追悼するのは当然の責務としても、近隣諸国の激しい反発を招いては真の慰霊にはなるまい。
 第一次内閣のとき、靖国神社に参拝しなかったことを「痛恨の極み」としていた安倍首相である。
 昨年暮れ、首相に再び就いてからも、春と秋の例大祭、八月十五日の終戦記念日という節目での参拝を見送った。第二次内閣発足一年に当たるきのうが、積年の思いを遂げる日と考えたのだろう。
 首相は記者団に「この一年の安倍政権の歩みを報告し、再び戦争の惨禍で人々が苦しむことのない時代をつくるとの誓いを伝えるためにこの日を選んだ」と述べた。
◆独り善がりの説明
 国の戦争に駆り出され、戦場に散ることを余儀なくされた戦死者に、その国の指導者が哀悼の誠をささげるのは当然ではある。それが誤った政策判断で突入した戦争だとしたら、なおさらだろう。
 その一方、首相の靖国参拝が、極東国際軍事裁判(東京裁判)によるA級戦犯の合祀(ごうし)発覚後、高度な政治・外交問題と化している現実もある。そのことは、安倍首相も認識しているはずではないか。
 中国は旧日本軍による侵略の、韓国は植民地支配の「被害者」という歴史上の事実は消せない。
 首相が「いわゆる戦犯を崇拝する行為だと、誤解に基づく批判がある」といくら強弁しても、靖国参拝がほかの戦死者と同様、戦争指導者をもたたえる行為だと受け取られても仕方があるまい。
 首相は、すべての戦死者を慰霊する「鎮霊社」にも参拝することで、今回の靖国参拝に「不戦の誓い」を込めたのだろうが、結果として中韓両国の反発を招いた事実は重く受け止めるべきだ。それを誤解に基づくと言い張るのは、あまりにも独り善がりがすぎる。
◆米国が異例の批判
 今回の靖国参拝がより深刻なのは、首相が同盟関係の強化を目指してきたはずの米国が「日本の指導者が近隣諸国との緊張を悪化させるような行動をとったことに、米国政府は失望している」(在日大使館声明)と、異例の強い調子で首相を批判していることだ。
 アジア・太平洋地域では、中国の軍事的な台頭、北朝鮮の核・ミサイル開発など、安全保障環境が悪化している。日米安全保障体制の信頼性が揺らげば、中国に軍事的冒険の誘因を与えかねない。
 安倍内閣が「対中包囲網」の一環として関係強化に努める東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国が頼りにするのも「アジア・太平洋地域安定の礎石」としての日米安保体制だ。米国との関係を損ねた日本と組んでまで中国と向き合おうとする国があるだろうか。
 中韓両国に加え、米国との関係悪化の先にあるのは、日本の外交的な孤立にほかならない。
 日本がそんな「いつか来た道」を再び歩みだすことを、靖国の杜(もり)に眠る人々が望むはずがない。
 首相は昨年十二月の衆院選に続き、今年七月の参院選でも圧勝して政権基盤を固めた。悲願だった国家安全保障会議(NSC)を設置し、中長期の外交・防衛政策の指針となる国家安全保障戦略を策定するなど、安全保障政策の見直しを着々と進めている。
 経済面では株価が六年ぶりに終値一万六〇〇〇円台を回復。今月の月例経済報告では四年二カ月ぶりにデフレの表現がなくなった。
 特定秘密保護法成立で低下はしたが、安倍内閣の支持率は高止まりしている。就任一年の集大成として靖国参拝に踏み切っても乗り切れるとの「慢心」があるのなら、見過ごせない。
 戦死者、戦没者をどう追悼するかは国内問題であり、外国から干渉されるべきものではないが、靖国神社がその場として今も適切かどうかは、議論が残る。
 首相の靖国参拝や合祀をめぐる訴訟が起きたり、首相や閣僚の参拝に対する中国、韓国などの激しい反発がそれを表している。
◆悪循環を断ち切れ
 首相は高支持率という政治的資産を、靖国参拝という中央突破ではなく、参拝が引き起こす悪循環を断ち切ることにこそ、振り向けるべきではなかったのか。
 首相は、内外の誰もがわだかまりなく戦死者、戦没者を追悼できるような施設、環境づくりにこそ、指導力を発揮すべきである。
 これまでにも、A級戦犯分祀論や千鳥ケ淵戦没者墓苑の拡充、新たな国立追悼施設造営など、さまざまなアイデアが浮上している。
 議論を集約し、実現するには困難を極めるとしても、ドイツの宰相、ビスマルクが言うように「政治は可能性の芸術」であるのなら、不可能はないはずだ。
 首相には勇気を持って、一歩踏み出してほしい。「不戦の誓い」に、魂を込めるためにも。
 

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