高レベル放射性廃棄物は最終処分場確保の見通しが立たないなど、コスト以前の難題を抱えている。
将来の、廃炉や核廃棄物処理にかかる費用を含めれば、原発のコストは高くつくのは確実。更に、一度事故が起きれば、その処理とコストが跳ね上がるのである。
将来の、廃炉や核廃棄物処理にかかる費用を含めれば、原発のコストは高くつくのは確実。更に、一度事故が起きれば、その処理とコストが跳ね上がるのである。
昨年夏から唯一運転していた関西電力大飯原発3、4号機(福井県)が定期検査入りし、国内で稼働する原発は約1年2カ月ぶりにゼロとなった。
需要がピークの夏ではないが、現時点では原発がなくても電力の足りることがあらためて示された。
一方、代替の火力の燃料費がかさむことから、電力各社は相次いで電気料金値上げを実施。このため、早期の原発再稼働を求める声が産業界などで高まっている。
確かに、再稼働が進めば当面は電気料金が下がるだろう。しかし、今後の道筋を冷静に考えたい。
日本のエネルギーの在り方は、今まさに岐路にある。
将来の廃炉や核廃棄物処理にかかる費用を含めれば、原発のコストは高くつく。また、高レベル放射性廃棄物は最終処分場確保の見通しが立たないなど、コスト以前の難題を抱えている。再稼働を進めることは、将来への大きなツケを積み増すことになる。
国内で「現役」の原発は17原発50基。しかし、東日本大震災の影響や定期検査のため順次停止し、震災時に検査中だったものを含めて再稼働しないままになっている。
そんな中、大飯原発は、原発依存度の高い関電管内の電力不足を避けるため、暫定的な安全基準に基づき再稼働していた。国内の電力はこの間、需給が逼迫(ひっぱく)した時期もあったが、火力発電所のフル稼働などで乗り切ってきた。
それでも、発電能力確保や経営面から電力会社は原発再稼働を目指している。
新規制基準が施行され、原子力規制委員会は、大飯の2基も含め、6原発の12基について安全審査を進めている。
新規制基準が施行され、原子力規制委員会は、大飯の2基も含め、6原発の12基について安全審査を進めている。
ただ、規制委の審査をクリアしても簡単には行きそうにない。再稼働には自治体の同意が必要だが、福島の事故後に原子力災害対策重点区域が半径30キロに拡大し、関係自治体が増えているからだ。
原発に対する不安は、国民の中で日々強まっている。
福島の被災者に対する冷たい支援の実態、追いつかない汚染対策を見て、各地の原発周辺住民の目は厳しさを増している。
世界に目を向けると、安価なシェールガス供給の普及や再生可能エネルギーの低価格化など、エネルギー事情は急速に変化し、ビジネスチャンスも生まれている。

政府は変革をこそ最大限後押しするべきだ。
小規模分散型の再生可能エネルギーの推進を被災地復興につなげる考えも示しているはずだ。
今後、最初の再稼働は年明け以降の見込みといい、その場合、国内は原発稼働ゼロでの越年となる。
省エネルギーの徹底など、冬を乗り切る備えを官民挙げて整えていくべきだ。
そして、危険極まりない原発。
徐々に廃炉への舵をきるべきである。