政府は2013政府自民党は2013年度予算案。
地方自治体への一括交付金を廃止した。
「地域主権」の柱として民主党政権が11年度に創設した制度である。
しかし、地方があれだけ歓迎した、制度はわずか2年で幕切れとなった。
代わりに国が使い道を縛る、使い勝手の悪い「ひも付き補助金」が復活する。
【税制や権限についての原点】
僕は、まず初めに言いたい事がある。
考えて欲しい。そもそも、「地方自治」とは、字の如く、「自らを治める」ことである。
税金も地方に入るべきものが殆んどである。国庫に入る税金は本来、地方に入りべき税収である。
属地、属人主義から見れば、そこで働いた人が、そこに税金を治めるのが筋である。
東京も首都ではあるが、同じ地方であるから同じである。
つまり、色々な法で、権限がある国家がそれを一旦吸い上げて、地方に配分する。
これが、日本の税体制である。
言葉は悪いが、簡単に言うなら、「地方の企業や個人が稼いだお金に税金を勝手にかけて、地方からネコババしてるのが、国家財政」である。
初めにこれを頭に入れて考えて欲しい。
地域の実情に応じて事業を選べた一括交付金からの逆戻りであり、地方分権の後退を危惧せざるを得ない。時代と地方の要請と逆行した、言わば暴挙でもある。
震災復興でも、同じような事が言える。この1年10ヶ月で、民主党が作った、「復興支援交付金」なども、自民党政権や官僚によって、改悪されている。
被災地とすれば、これまで折角積み上げて来た、復興を裏付ける、財源の見直しなどもしなけばならず、これでまた振り出しに戻ったようなものである。
確かに一括交付金は、必要額が確保されないことに地方の不満があった。対象事業は限られ、手続きが煩雑といった問題もあり、自民党は衆院選で廃止を公約していた経緯がある。
だが、一括交付金がなぜ導入されたのか、思い起こしてみたい。
各省庁が「使途を定めるひも付き補助金」は、交付先も省庁が差配する「箇所付け」が問題化した。陳情する自治体との間に上下関係が生まれ、族議員の関与も許したのである。
民主党政権はこれを改め、地方が自由に使える交付金を目指した。自治体はそれぞれの課題に応じて、18件の対象事業から選択できる。配分も内閣府に一本化した。
対象は12年度に都道府県から政令指定都市に広げ、13年度は市町村への拡大も予定された。東日本大震災で本県に配分される復興交付金も、地方の自由度を高めた点で、その延長線上にある。
民主党政権は慣れない、政権運営で多くの不備はあったにせよ。
「地方が自ら重点に据える事業を進めやすくした」のは間違いない。
政府の調査では、都道府県の7割が一括交付金の導入を評価している。
地方が評価したこの制度まで、見直し、使い勝手の悪く、中央の各省庁の役所に権限をもたせる「紐付き補助金」を復活させたことは。
また、地方が国会議員に、陳情、請願する光景が戻ることになる。
さらに政府予算案では、一方的に地方公務員の給与引き下げを前提に交付税も4千億円削減した。ずに乗るもいい加減にするべきだ。
中央の権限を地方の人事、給与まで関与するのは、全く筋が通らない話ではないか・。
何か、大きな勘違いをしてるのではないか・・・?
(※地方6団体とは、地方公共団体の首長の連合組織である全国知事会・全国市長会・全国町村会の執行3団体と、地方議会の議長の連合組織である全国都道府県議会議長会・全国市議会議長会・全国町村議会議長会の議会3団体を合わせた6つの団体の総称。法的には地方自治法第263条の3に、これら首長や議長が全国的な連合組織を作った場合、内閣総理大臣に届け出を行なうことや、地方自治に関する事項について総務大臣を通じて内閣に申し出を行なったり、国会に意見書を提出したりすることができると定められている。)
古い話だが、「「三位一体改革」というのがあった。
2001年(平成13年)に成立した小泉純一郎内閣における聖域なき構造改革の一環として。「地方に出来る事は地方に、民間に出来る事は民間に」という小さな政府論を具現化する政策として推進されたものである。
国庫補助金改革・税源移譲による地方分権と、地方交付税の削減による財政再建をセットで行うこととした点にその特色があった。
あれも、地方分権を進めるという事では、同じだが地方交付税をやはり、減額した。
「地方に甘い」とされた民主党からの転換を印象づける狙いがミエミエである。
ここでも、霞ヶ関に官僚の権限を、助長する自民政権の思想がみてとれるのであるし、利権構造がまた古い時代に逆戻りしている。
僕には、小泉政権時代の前の自民政権に結局は、戻っているように見える。
先の選挙では、大幅に議員を増やしたが、民意を反映されていない選挙であった。
自民の得票率は、28%にしか過ぎない。それも、積極的に自民党に入れた票はいかほどであろう。
多くの有権者は「どこにも入れるところがない・・。仕方ないかなあ・・。」という感覚で投票したと想う。
選挙制度のあり方もあるが、小さいな政党が沢山出来た結果、議席数が増えただけなのである。
今の政権は、そんな国民の空気が読めていない。また、議席数の多さに、甘んじて謙虚さを忘れ、傲慢になってるように、想う。
さて、ずっと、世論も騒がれ、改革を迫られていた「地方分権」だったのだが、このように、財源一つとっても、安倍政権の姿勢には疑問符が付く。
是非、民主党はじめ野党は通常国会で問題を指摘し、分権論議を深めてもらいたい。
政府・自民党は、一括交付金に代わる新しい制度を検討するという。
ならば、地方が目指す地域づくりを自主的に進め、安定した財政にもつながる形を早期に示してほしい。
今年は、国会が1993年の宮沢内閣時代に地方分権推進を求める決議をして20年の節目に当たる。