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Channel: 山と土と樹を好きな漁師 ー「佐々木公哉のブログ」
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[天安門事件25年]ー中国の民主化は今や世界の安定にとって欠かせない課題でもある。天安門事件はまだ終わっていない。

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天安門事件25年  板門店広場に20万の部隊が突入し、装甲車の発砲で学生らがばたばたと倒れた記憶は「抹殺」できない。

時の流れを早く感じるが、中国・北京での無残なあの光景が鮮明に脳裏の残っているためだろう。
僕の中ではそんなに月日があれから
き立ってるような気がしない。
4日で四半世紀を迎えた。 

板門店広場に20万の部隊が突入し、装甲車の発砲で学生らがばたばたと倒れた。
 
1989年6月4日、学生の民主化デモを中国当局が武力弾圧した天安門事件は、歴史的惨劇として刻まれる。大国の道を歩む中国には、消したい過去でもある。
 25年前の出来事について国内では一切報じられない。学校の授業でも取り上げられない。民主化運動の再燃に厳戒態勢を敷き、海外メディアの取材も妨害している。
 公安当局は先月から締め付けを強め、国内の民主活動家や改革派の知識人らを次々と拘束した。国家ぐるみで事件を現代史から「抹殺」しようとするように映る。
 なぜ事件は起きたのか、教訓をどう生かすか。歴史に学ぶ謙虚な姿勢が見られない。記憶は抹殺できないことを知るべきだ。

 事件は学生運動にとどまらない複雑な経過をたどった。前段として当時の経済運営に不満が高まり、反インフレの民衆運動が起きたことに注目する必要がある。
 78年に中国が改革・開放政策を始めて10年が過ぎ、高成長を実現した半面、物価が高騰した。社会の格差や中央、地方政府の腐敗にも民衆は怒りを募らせ、学生の民主化運動につながっていく。
 
 現代史の中で、これらの経過は十分に検証されなければならない。だが、経済発展で民主化に対する国民の関心は薄まり、共産党は「反日」へ民衆の目をそらした。
 25年が過ぎて、中国は当時の状況に似てきたのではないか。経済成長の果実を分配できる間は国民の不満を抑えることができたが、今は成長が急減速した。
 事件前と同様、社会の格差や腐敗への民衆の怒りは隠しきれない。
頻発する暴動やテロを習近平指導部は力で押さえ込もうとしている。
 同じ問題に苦しむのは、天安門事件に学ばず、なすべき改革を怠ってきたためだ。中国当局は武力弾圧を正当化した事件の評価見直しをためらうべきではない。

 「事件後も経済交流を続け、怪物(中国)を培養した」と当時の学生リーダー、ウアルカイシ氏は欧米を批判する。
 中国の民主化に向き合わず、今は威嚇に遭う日本に突き付けられた言葉でもある。
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【人治でなく法治であれ 中国・天安門事件25年】
東京新聞  2014年6月3日
北京の天安門広場で民主化運動の学生たちが武力で鎮圧されて二十五年。中国の強権的な姿勢は変わっておらず、民主化の道は険しそうだ。
 一九八九年四月から始まった学生らの民主化要求デモは天安門広場を埋め尽くし、高揚感にあふれていた。
 報道の自由、法治の国、汚職追放など社会の矛盾解消を掲げた彼らの要求はいずれも理にかなったものだった。改革・開放路線で経済の自由化が進み、活性化してくるにつれ、政治の矛盾に目が行き、民主化を求めるのは当然の流れだったといえる。
◆事件は暴乱として処理
 現場で声をかけた参加者はだれもが「中国は変わります」とわれわれ外国人記者に目を輝かせ語った。当時の趙紫陽総書記ら改革派指導者も学生らに同情的で、新しい時代の到来も予感させた。
 六月四日未明。北京周辺に集結していた人民解放軍が一斉に鎮圧に乗り出した。抵抗する市民に容赦なく発砲、多くの死傷者を出した。「人民の軍が人民に銃を向けた」。学生らの叫びは絶望感にさいなまれていた。政府内では、趙総書記ら改革派の指導者は失脚していた。
 事件は「暴乱」として処理された。共産党の一党独裁体制を堅持することが最優先と確認された。現在までその姿勢は全く変わっておらず、社会の抱える矛盾は四半世紀前と同じだ。
 中国は経済的に発展を遂げ、世界第二の大国になった。事件で各国からの制裁を受け、厳しい立場に立たされたが、最高実力者、〓小平氏が指示した大胆な市場開放路線が功を奏した。指導者たちは強硬な姿勢を貫徹することにも自信をつけた、といえる。
◆独自にルールを設定
 学生らの要求の一つが「人治の国から法治の国へ」だった。一党独裁体制で指導者による専制的な国家運営が続き、幹部の汚職も明らかになっていた。開かれた政治体制を求めたのは当然の要求だった。
 習近平体制になった現在でも、周永康・前政治局常務委員による汚職事件をはじめ地方でも幹部が私腹を肥やす例が多く民衆の不満が高まっている。習氏は摘発に全力を挙げている。しかし、“人治”の体制を変えない限り、なくすことは難しい。
 中国政府は事あるごとに「法治国家」を宣言しているが、最近の強権ぶりは目に余っている。南シナ海では採掘調査を契機にベトナムと領海紛争、漁船の衝突などでけが人も出している。中国は自国で定めた領海ラインを頑(かたく)なに主張している。
 東シナ海では独自の防空識別圏を設定。日本の自衛隊機に圧力をかけている。どちらも中国が一方的にルールを設定したものでこれは世界では通用しないものだ。国際的な「法治」も尊重するのも法治国家のはずだ。
 新疆ウイグル自治区での一連の爆発事件では「テロ」と断定、取り締まりを厳しくしているが、抑え付けるだけでは事態の根本解決にはならない。民族的なわだかまりを解消する手段も必要なのではないか。
 天安門事件二十五年を前に中国では事件の再評価を求める動きに異常に神経をとがらせている。
 著名な人権派弁護士、浦志強氏や哲学者の徐友漁氏らが天安門事件を記念したシンポジウムに参加したところ、身柄を拘束された。そのほかジャーナリストや人権活動家、日本経済新聞の助手などの拘束も伝えられている。
 駐在する外国人記者に対しての圧力もこれまでになく強く、天安門事件取材は事実上困難になっている。インターネットの監視には特に神経をとがらせている。中国国内は開かれた体制とはほど遠い。
 こうした措置は国内に不安材料が多いことの証左ともいえる。〓小平氏は革命で重きを成し、軍に対しても絶対的な力があった。逆に言えば天安門事件もこの世代のリーダーだから抑えられた。
◆国際的な圧力が必要
 当時の指導者に比べればカリスマ性に欠ける習国家主席は、対外的な強硬姿勢で国民の「愛国心」を呼び起こし、体制固めを図る。国内の問題から目をそらすためともいえる。天安門事件の再評価は現在の政権の基盤を根本的に揺るがす危険が伴うため簡単にはできない。
 内部から変わらないとすれば、今の中国に軌道修正を求めるには国際的な圧力以外にない。
 米国をはじめ、日本、欧州さらにはアジア各国が一枚岩になり、強権政治に異を唱え続けざるを得ない。中国の民主化は今や世界の安定にとって欠かせない課題でもある。天安門事件はまだ終わっていない。
※〓は、登におおざと

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