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Channel: 山と土と樹を好きな漁師 ー「佐々木公哉のブログ」
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JTB交流文化賞に輝く!!~「漁村の暮らし体験が地域を再生する」NPO法人 体験村・たのはたネットワーク

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被災地は、観光客が激減しています。
しかし、田野畑村には北山埼など多くの手付かづの自然があります。
 
3.11東日本大震災があったにも関わらず、この19日に「JTB交流文化賞」で最高交流文化賞を受賞しました。
とても、被災地にとって明るいニュースです。
 
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これは、JTBが企画してるもので、今回で7回目。
「趣旨は」
地域活性化の活動において、本来持ち合わせている自然や文化、歴史などの価値を損なうことなく、地域の持つ豊富な知恵や特性を存分に活かしたアイデアを盛り込むことこそが重要です。。
等身大の「まち」の姿をありのままに伝えながら、「まち」全体でもてなす工夫を見つけた時、地域の皆様はわが「まち」に誇りを感じ、旅行者には新鮮な感動を与えることでしょう。
そんな地域の取り組みを、全国の観光地などから募り、このたび・・・。田野畑村の団体が最優秀賞を受賞しました。
 
 

交流文化賞
最優秀賞
(岩手県下閉伊郡田野畑村)」
「漁村の暮らし体験が地域を再生する」
「番屋エコツーリズム」
NPO法人 体験村・たのはたネットワーク
取り組みの概要は以下の通りです。
取り組みの背景や目指す目標 (イメージ)
 
田野畑村には、財団法人日本交通公社の観光資源評価(平成11年)において、国内の海岸では唯一最高ランクの特A級に格付けされた200m断崖が続く景勝地「北山崎」がありました。しかし、訪れる観光客のほとんどが写真を撮るとすぐ移動してしまう典型的な通過型観光地であり、経済効果はあまりありませんでした。村の観光スタイルを通過から体験、体験から滞在とシフトするため、体験型観光を推進しました。農林漁業が盛んな昔ながらの生活様式に着目し、「番屋エコツーリズム」と称して体験観光のソフトとして活用しました。小型漁船で北山崎の断崖をめぐる「サッパ船アドベンチャーズ」については、開始した平成16年度に342人あった参加者は平成22年度には4880人となり、14倍以上に躍進しました。平成23 年度は大津波被災のため数は大きく落ち込むことが予想されますが、今後も再建とさらなる拡大をめざしていきます。また、教育旅行受け入れは平成21年度8校、22年度4校でした。23、24年度も数校ずつ入っていた予約は、震災のためキャンセルとなりました。教育旅行についても、被災地見学、防災教育という新たな切り口から、今後も受入拡大を目指していきます。

取り組み内容
  • 地域資源の活用
    昔ながらの漁師番屋が25棟残されていた「机浜番屋群」は、今日の社会環境の中で一部地元民から「古いから早く取り壊すべきだ」という提案もされていました。ところが客観的な視点の導入によりその価値に気付き、地元青年会により保存継承活動が行われ、平成18年には水産庁の「未来に残したい漁業漁村歴史文化財百選」にも選ばれ、昔の漁村の姿をとどめる貴重な場所となりました。
    NPO法人体験村・たのはたネットワークでは、「番屋」を田野畑村の自然と調和した暮らしの象徴として、提供する生活体験プログラムを「番屋エコツーリズム」と称しています。
    また、番屋だけでなく、漁船や漁業作業、魚捌き、農林業、漁師風工芸など、村での暮らしそのものを体験プログラムとして活用しています。
    <代表的な体験プログラム>
    ◎漁師が漁船で断崖や漁場を案内し、自然と漁業を紹介する「サッパ船アドベンチャーズ」
    ◎漁師が田野畑村の自然とそれに調和した生活を紹介する「番屋ガイド」
    ◎漁家の母親と一緒に魚を調理し、一緒に食事をしながら交流する「番屋料理」
    ◎海岸に残る自然歩道を歩き、自然と暮らしを紹介する「ネイチャートレッキング」
    ◎漁師の浮き玉(ガラス玉をひもであみこんだもの)作り、貝殻などを素材にした「海辺のクラフト」
  • 観光や交流の促進
    平成20年度までは主催事業での子ども対象キャンプ、平成21年からは学校単位の教育旅行受け入れを開始しました。遠方から参加した子どもたちの意見を聞き、村民が漁業や暮らしの営みの価値を再認識しました。村民は「何もない」と思っていたのに、ちょっとした潮騒や魚料理、時には汲み取りトイレまでが感動を与える材料となることに気付きました。受け入れ後、村民と参加者の文通が続いたり、個人的に家族で来村するなどの交流が続いています。
  • 地域の活性化や事業化
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    • ◎サッパ船参加者が少なかった頃は漁業者にとって時間的ロスが大きく、面倒と感じる漁師もいました。しかし客数が伸びると、大きな副収入として生活の一環となり、サッパ船を積極的に受け入れるようになりました。
    • ◎大規模な学校の受け入れにより、民泊受入が地域ぐるみの行事となりました。地区の婦人会や漁協婦人部の新商品研究開発にもつながり、またプレゼンスキルなどそれまで考えもしなかったことに関心を持つようになりました。
    • ◎子どもを受け入れ、交流した経験が村民にとっての楽しみになりました。お年寄りもそれに生きがいを感じて、「次の機会はまだか?」と心待ちにしている方もいます。
    • ◎「わかめオーナー制度」を始めました。オーナーが養殖作業に参加し、自らの手でワカメの種まきや間引き、収穫に参加します。わかめの販売促進及び水産業への関心普及につながりました。

取り組みによる効果(イメージ) 
  • ◎インストラクターにとって副収入(特に、サッパ船長には150万円以上/ 年)となりました。
  • ◎体験プログラムに感動したお客様の声を聞くことで、地元民が暮らしや文化の価値を再認識しました。
  • ◎民泊受入などで子どもと交流した高齢者が、とても元気になりました。これは、高齢化問題を抱える土地としては非常に大きな効果です。
  • ◎都市及び近隣市町村、また地域内での新たな交流が生まれました。
  • ◎宿、食堂、水産加工業、流通、交通機関など関連産業へも経済効果が波及しました。
  • ◎「わかめオーナー制度」により、わかめ販売促進につながりました。
  • ◎魚を食わず嫌いしていた地元の子が、体験を通して魚が大好物になりました。
これまでの取組期間、継続期間について
  • ◎平成12年 サッパ船観光の取り組み開始(実施主体は賛同する漁師数名による組合)
  • ◎平成15年「 体験村・たのはた推進協議会」発足
  • ◎平成20年 上記協議会を前身とし、NPO法人格を取得
    (NPO法人 体験村・たのはたネットワーク発足)
取組体制・組織、財源について
  • ◎当団体はNPO法人で、事務局常勤スタッフ4名、インストラクター約100名(すべて村内の漁業者、農業者など)という体制になっております。
  • ◎活動の主財源はサッパ船アドベンチャーズなど体験観光事業の収入です。イベント開催にあたっては助成金(今年度に関しては子どもゆめ基金、日本財団震災復興助成など)も活用しております。役場から業務委託(イベント開催やビジターセンター管理など)は受けておりますが、補助金はいただいておりません。
今後の展望について (イメージ)
  • ◎東日本大震災による大津波被災のため、これまで利用していた漁船、漁港、体験施設、資材などが流失しました。それらのほとんどはまだ失ったままですが、なんとか船を調達し、漁船による断崖冒険クルージング「サッパ船アドベンチャーズ」を7月末に再開しました。
  • ◎震災で多くのものを失いましたが、幸い事務局員やインストラクターなど人材は無事でした。体験施設を使用した体験メニューやこれまでのような規模の受け入れは現状では難しく、施設などの復興予定もまだわかりませんが、少しずつ以前のような体制を、またさらに良いものを目指して整えていきたいと思います。
  • ◎被災地で生き残った者として、被災経験を風化させないために、新プログラム「大津波ガイド」を開始しました。今後も、防災教育、ジオツーリズムなど新たなソフトを開発しながら、発展させていきたいと思います。
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評価のポイント
 
 
地域の伝統的な生活様式である「番屋」を体験観光のソフトとして活用し実績を積んできたが、今般の震災で多大な被害を受けた。
 
その影響がまだ後を引いている中で、被災地見学、防災教育という新たな体験の視点を加え、果敢に地域の人々の手による着地型観光をいち早く復活された熱意と思いに敬意を表したい。着地型観光を通じた交流の復活がエンジンとなり、漁業、地域の復興につながることを祈念したい。
 
 
 
という評価です。観光も、風評被害的なことは起きていますが・。
この受賞は、漁業や観光、田野畑の復興の弾みとなることを願ってやみません。
 
 


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