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Channel: 山と土と樹を好きな漁師 ー「佐々木公哉のブログ」
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【「史上初の米朝首脳会談」後戻りさせない転換点に 成否は今後の推移で判断するしかない。焦点は無論、北朝鮮が速やかに核廃棄に着手するかどうかにかかる】

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【「史上初の米朝首脳会談」後戻りさせない転換点に 成否は今後の推移で判断するしかない。焦点は無論、北朝鮮が速やかに核廃棄に着手するかどうかにかかる】
まさしく歴史的な瞬間だった。
 シンガポールでトランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が固い握手を交わした。
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【朝鮮戦争(1950~53年)以来、65年も対立してきた両国の史上初の首脳会談だ】
 数カ月前までは戦争の瀬戸際とも言われた米朝の「雪解け」は前向きにとらえたい。
 両国の共同声明には「新たな米朝関係」など4項目がうたわれた。米国が北朝鮮に安全上の保証(体制保証)を与え、北朝鮮が朝鮮半島の完全な非核化への「揺るがぬ関与」を確約することが合意の柱である。

【非核化の担保が不十分 「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」に触れなかった】
 固い約束のようだが、懸念は大いに残る。米朝の共同声明は、韓国と北朝鮮の首脳会談(4月27日)に伴う「板門店宣言」に基づくもので、米国が従来求めてきた「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」には触れていない。
 記者会見でこの点を問われたトランプ氏は、声明をよく読めば言及していると語る一方、別の記者の同趣旨の質問には「時間がなかった」と答えた。この辺が本音だろう。この短い時間で、あれもこれもと一気には進むまい。
核廃棄をめぐる肝心な論議を詰め切れていないことをうかがわせた。
すでに、「非核化が骨抜きになる」「ゼロ回答だ」と落胆する声が上がっている。

【米の最大の課題は、北朝鮮がCVIDなのに、これにに同意したかどうかもはっきりしない】
 非核化についてトランプ氏は、金氏が会談で「やりたい」と語ったと説明し、ミサイルに使うエンジンの燃焼試験場の閉鎖を北朝鮮側から告げられたことも明らかにした。
 しかし非核化のプロセスがいつ始まり、いつ終わるのか。既に北朝鮮が保有する核爆弾はどう処理するのかなど、基本的な問題についても具体的なことは一切語らなかった。
 初回の会談では、金正恩氏が、トランプ大統領にどう接すれば自分たちに有利に働くかを計算し、トランプの先を行っている印象を受けた。

ポンペオ国務長官は会談直前、米国が求める非核化とはCVIDに他ならないと強調している
 米政府内の温度差もさることながら、北朝鮮が誠実に非核化を実行する保証がどこにあるのか。せっかくの歴史的な会談なのに合意内容がいつの間にか後戻りしないか不安になるのだ。
 金氏自身の声で非核化の決意や今後の手順を聞けなかったことも不安になる

【米朝関係は改善されようと、日本をはじめとする近隣諸国の命運にかかわる核・ミサイル問題の行方は不透明と言わざるを得ない
 半面、米国が北朝鮮に体制保証を与えたことで、いまだ休戦状態にある朝鮮戦争は終戦協定に向けた手続きが進む可能性が出てきた。 韓国と北朝鮮の南北融和も加速し、東アジアに残った冷戦構造も解消に向かう見通しだ。
こうした環境変化に日本も俊敏に対応する必要がある。
 共同声明には、朝鮮戦争の行方不明米兵(MIA)について北朝鮮が遺骨などの引き渡しに協力することもうたわれた。軍を重視するトランプ氏の意向をくんだのだろうか。


非核化への費用は誰が支援する?と質問されたトランプ氏は「韓国と日本が支援するだろうと述べた
 トランプ大統領は米国中心主義でお金にもシビアだ。彼ら(「韓国と日本)は支援しなければならないと分かっている。米国が支援する必要はない。米国はその費用を支援しない」と言った。 20兆円とも30兆円とも言われる費用で完全非核化には15年以上かかる。安倍氏はなぜ文句を言わないのか。なんでもかんでも、「トランプ大統領のイエスマン」だからこうなるのだ。
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【共同声明には盛られていないものの、トランプ氏は首脳会談で「日本人拉致問題を提起した」と述べた】
 しかし、日本人拉致問題は日本の問題である。本来は、米朝会談で論議する事柄ではない。
 これまで北朝鮮は「拉致問題は解決済み」ということをずっと述べている。蚊帳の外に置かれている日本だが、まず、安倍総理が日朝会談ができるのか? そこから始まる。
 圧力一辺倒で来た日本に対して、したたかな金正恩氏がこの拉致問題をどのように考えているのか? 経済協力との引き換えのカードにする可能性は否定できない。全く未知数である。
 
【トランプ流の危うさ 注目されたのはトランプ氏が北朝鮮への軍事オプションを封印したと思えることだ】
 北朝鮮が合意を破った時は軍事行動も考えるかと聞かれたトランプ氏は、韓国などへの甚大な影響を考えれば軍事行動は非現実的との認識を示した。
 米韓軍事演習も北朝鮮の対応次第では中止する考えを示し、在韓米軍縮小にも前向きな態度を見せた。この辺は大きな路線転換と言うべきで、北朝鮮への軍事行動は不可能と判断してきた米国の歴代政権に、トランプ氏も同調したように映る。
【良くも悪くもトランプ流である。 彼は「権威」や「専門家」を嫌う傾向が強い】
 米国政治に通じた人々自身が米国の危機を招いたと述べる(著書「グレート・アゲイン」)一方、北朝鮮政策では過去の米政権の「失敗」を批判してきた。
 2016年の大統領選時には、金氏とハンバーガーを食べながら核問題を話し合う構想を口にした。今回の首脳会談は、形にとらわれずトップ交渉で問題解決を図ろうとする姿勢の表れだろう。

第三国で行われた首脳会談は「政治ショー」の色彩がつきまとった感じがした。
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金氏の訪米を招請したのもトランプ流だろうが、その成否は今後の推移で判断するしかない。
焦点はもちろん、北朝鮮が速やかに核廃棄に着手するかどうか、である。

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